2011年10月4日火曜日

平成23年6月議会一般質問(田中哲治議員)

4番、新政会、田中哲治です。



通告に従いまして、私は、本市の農業と観光事業の連携、すなわち元気の出る振興施策についての現状と考え方、また実態について一般質問をさせていただきます。


まずもって、さきの東日本大震災におきましては、多くの方々が犠牲となりまして、また被害を受けられました皆様には御冥福とお見舞いを申し上げます。

さて、本市は広大な平野が広がり、西部には砂丘地、また北部にはあわら市も含めました約1,900ヘクタールの丘陵地が広がっております。そこでとれる農作物は多様な観光資源を有しております。また、県内随一の穀倉地帯でもあり、約6,700ヘクタールの田・畑を有しておりまして、農業産出額は約100億円と県下でもトップでございますし、また同時に県全体の約20%強を占め、福井県の農業生産面でも特に重要な位置づけにあると言えます。

また、本市の観光につきましては、御承知のとおり、日本屈指の景勝地であります東尋坊や風情のある港町、また越前がに、アマエビなどの豊かな海の幸、そして現存する天守閣では、日本最古の丸岡城や、また先般完成しました水車メロディーパーク、そして伝統ある祭りなどなど、伝統・文化・歴史が観光にも農業にも多彩あり、まさに農業と観光の連携は切り離せないものと考えているところでございます。

しかしながら、近年、農業については担い手の高齢化や後継者不足などにより、耕作放棄地の増大が懸念されることも現実であります。また、観光事業につきましては、宿泊型リゾートから通過型リゾートへの変貌による集客力の低下が現実で、現在、余暇の過ごし方といたしましては、体験型宿泊プラン(グリーン・ツーリズム)に人気が集まっているのも事実でございます。

特に、観光振興は地域活性化の切り札、起爆剤とも言われておりますが、活用できる資源では、自然の風景や景観など自然資源、いわば地域資源でございます。また、観光ポイントや伝統、文化、芸能などの観光資源があると思いますけれども、観光資源、地域資源とは何も物ばかりであるとはないと思っております。やはり、農商工観の何かと何かを組み合わせることによりまして生まれる新たな魅力というような資源もあるんではないかと思っております。

また近年、子どもたちの生活体験や自然体験が不足しているのではないかと思われております。子どもたちの豊かな人間性を育むため、農業体験を通した体験型学習を実施することで、さまざまな教育的効果があるようであります。

1つは、田植えや稲刈りなどの体験学習の前後で子どもたちの心理状況の変化を計測しますと、怒りや不安といった感情が低下する傾向であります。

2つ目には、宿泊を伴う場合、子どもの情緒が安定し明るさや活気が出て我慢強くなるなど、農家の協力が得られることで、農業への興味や関心、また地域に対する理解などが深まる傾向にあると言われております。全国ベースでの小学校の農業体験学習は80%、中学校は35%とお聞きしております。修学旅行での体験学習を取り入れているのは6割以上ですが、農山漁村体験を行うのは、小学校では11%、中学校では5%程度にすぎません。最近では、民宿と農業体験など新しい修学旅行の形として取り入れる学校も見られておりますし、近年各方面から家族で観光を兼ねた農業体験学習も少なくありません。これら等々につきましても、市としての積極的な事業展開をする必要があるんではないかと思っております。

また、農業につきましては、一昨日の11日には、皆さん御承知のとおり、国連食糧農業機関、いわばFAOでございますけども、環境保全、また目配りした特色のある農業が実践されている地域、佐渡市におきましては、特別天然記念物のトキと共生を目指す減農薬、また七尾市四市四町でございますけども、これにつきましては、棚田の米栽培や海女業を営む山村や漁村を里山里海と呼んで守っていることが評価されまして、我が国で初めて世界農業遺産として登録されました。今後、環境保全や農場保全と調和も図る滞在型観光の促進などが期待されると記事がございました。

坂井市においても、海・山・里と多くの自然があり、農業と観光事業の元気の出る振興施策として考えていかなければならないと思われます。今後、農業体験を目的に観光を兼ねた宿泊プランなど、農業と観光の連携による強化対策が必要と考えます。

そこで、3点お伺いをいたします。

1点目は、農業と観光事業の連携は、行政と農業関係団体や観光協会がタイアップして推進していく必要があると思いますが、市の現状と考え方についてお伺いをいたします。

2点目につきましては、農業と観光の振興策といたしまして、元気の出る振興施策と資源を活用した観光農業の考え方についてお伺いをいたします。

最後に、市の体験学習農園、いわば農業体験学習でございますけど、この実態がどうなっているのかをお伺いをいたします。

以上が質問の内容でございます。


○ 議長(広瀬潤一)坂本市長。


○ 市長(坂本憲男) 

田中議員の御質問にお答えをいたします。

農業と観光事業の連携についてと、農業観光の振興策として、元気の出る振興施策と資源を活用した観光農業の考え方については私が答弁させていただきますし、また市の体験学習農園の実態については、後ほど教育長がお答えをいたします。

まず、農業と観光事業の連携につきましては、行政と農業関係団体や観光協会がタイアップして推進していく必要があるというふうに思いますが、市の現状と考え方についてお答えをさせていただきます。

市の観光連盟には、JA花咲ふくい、JAはるえ、また三里浜特産農協を初め4つの漁協、坂井森林組合が加入をいたしておりまして、観光に農林水産業の素材を組み合わせていくための協議の下地は既にできているものと認識をいたしております。

グリーン・ツーリズムについての取り組み事例は、坂井市を含めて県内にいくつか見受けられますが、農家側の受け入れ時期が一時的なものや、年間を通じても、受け入れに見合った収益や集客数が確保できるほどの成功事例はほとんどないというのが実情でございます。

そのような状況の中で、農林水産関係団体・観光団体の積極的な取り組みには至らない状況にあると思われます。

市としましては、これらの現状を踏まえた上で、地域と都市交流の拠点施設として整備した道の駅みくにふれあいパーク三里浜、坂井地域交流センターいねす、ユリーム春江、竹田水車メロディーパーク等を通じて、また市内直営店とも連携を図っていきながら、グリーン・ツーリズム体験受け入れ農家を初め坂井市の農業者・グループなどが心を込めた畜産物や農産加工品の販売、PRに取り組み、さらにさきの上出議員の御質問の中でもお答えもさせていただきましたが、観光アドバイザーを活用し、農業と観光を中心に広く全国に発信をしていきたいというふうに考えております。

また、空き家を対象とした新たな事業展開も視野に入れて検討してまいりたいというふうに考えております。

次に、農業観光の振興策として、元気の出る振興施策と資源を活用した観光農業の考え方との御質問でございますが、坂井市の特産作物として大麦、大豆、そば、ラッキョウなどがあります。

初夏には、あたり一面が黄金色に染まる大麦や、秋には白い花の咲くそば畑、また緩やかな起伏の砂丘地にはラッキョウの花が一斉に咲き誇り、紫のじゅうたんが敷き詰められているかのような光景が広がります。

このような季節感のある魅力ある風景を紹介して広く周知していくことで、観光地としての確立、観光農業の進展につながっていくものと考えております。

一方、食の方では、ラッキョウや大麦、大豆を使った大豆入り麦茶、さらには県内で愛されているおろしそばを味わうことができるのも魅力ではないかと思います。

坂井市内の農産物直売所に並ぶしゅんな農産物の情報を、インターネットや情報誌を広く活用することで、地元や近隣の方のみならず観光客にも直売所に来てもらう回数をふやし、売り上げに貢献することができるものと考えております。

また、農業と観光の関連については、これまでにも行われていますが、北陸でも屈指の園芸産地である坂井北部丘陵地の観光客を対象としたナシなどの体験収穫の拡大、民宿等の観光業と地元農業者による地元農林水産物を食材としてふんだんに使った食事の提供などにより、地域農業並びに観光振興に寄与できると考えております。


○ 議長(広瀬潤一)川元教育長。


○ 教育長(川元利夫)

私の方からは、学校での市の体験学習農園の実態についてお答えをいたします。

教育委員会では、ふれあい交流事業の一環といたしまして、地域の特色を生かした地域交流事業をすべての19の小学校で行っております。この地域との交流事業においては、自分たちが暮らす地域での農業や漁業などの体験を行っており、具体的には、地域のJAや農村女性活性化委員、また地区老人会、PTAなどと連携をとりながら、稲作、水稲ですね。ラッキョウ、サツマイモ、春江では白茎ゴボウ等の苗植えとか肥料まき、除草、収穫といった一連の体験を行っており、収穫できた材料で収穫祭などを行っています。漁業においても、タイの稚魚放流やワカメ干し体験など、また坂井農業高校との連携においてハムづくりや野菜づくりを行っております。

このような一連の体験を通して、地域産業の理解や地域の人々との交流を図り、生産にかかわることによって、生産の喜びや労働の大切さ、奉仕の心を養うといった「豊かな心」を育むことを目的として実施を行っております。そのほか、わんぱく少年団であったり、自然教室など、いろいろ体験学習を実施しているところであります。

以上です。


○ 議長(広瀬潤一)田中議員。


○ 4番(田中哲治)

今の回答にちょっとわからない点がありますので、ちょっとお聞きします。

地域の拠点の施設、道の駅、またふれあいパーク、またゆりの里、また竹田、いろいろありますけども、直営を連携いたしましてグリーン・ツーリズムを図っていくというふうな説明がありましたけれども、今現在、どのような、数と申しましょうか、団体と申しましょうか、これをお聞きしたいと、そのように思っております。


○ 議長(広瀬潤一)黒川産業経済部長。


○ 産業経済部長(黒川規夫) 

地域拠点施設でございますが、今、議員さん言われるように、道の駅、みくにふれあいパーク三里浜、また坂井の地域交流センターいねす、また春江のゆりの里公園、ユリーム春江、また竹田水車メロディーパークの竹田屋といったような、農業者が出展して農産物等を、そこへ訪れた観光客の方が、そこで地域のいろんな農産物を買って帰るといったような、そういった交流、観光客が日帰りする体験交流の場として、そういう場所がございまして、年間約40万人ほどの方が利用をされているというな実態がございます。そのうち県外の方が約14万人ほどになろうかと思います。

ちなみに、昨年8月の竹田の水車メロディーパーク、8月からのオープンでございましたが、その間、約4万人強の方が来場されておられるというな実態でございます。


○ 議長(広瀬潤一)田中議員。


○ 4番(田中哲治)

今の部長の回答で、グリーン・ツーリズムで県外からも14万人というふうにおっしゃっておられましたけれども、日帰りといいますと、坂井市にはたくさんの民宿がございます。そのようなとこで、観光協会、また市、行政といたしましても、そんなことで、やはり滞在型のそのようなことを進めなければならないんじゃないかなと。そうすることによって、坂井市の経済発展につながるんじゃないかなというふうに思っておりますけれども、今後、どのように推進していくのでしょうか。


○ 議長(広瀬潤一)黒川産業経済部長。


○ 産業経済部長(黒川規夫)

先ほど言いましたような道の駅とかというのは、やはり観光客が日帰りをする、日帰りをして交流が図られた場所といったようなことがございますし、そのほかにも坂井市内でそういった交流体験といわれるものについては、サツマイモの体験農園とかメロンの収穫体験、ほかにもそば打ち体験とか、そういった形で日帰りの体験というものについてはいくつかございまして、今ほど議員さんがおっしゃられますように、滞在型のそういったグリーン・ツーリズムが必要ではないかといったようなことだと思いますが、今後、坂井市内にも、先般、空き家等の調査も実施をしておりますし、そういった空き家等の所属する、主に農業地域といいますか、そういったところの調査を図りながら、滞在型、あるいは短期滞在型、長期滞在型、そういったグリーン・ツーリズムも今後十分検討していく必要があるというふうに考えております。


○ 議長(広瀬潤一)田中議員。


○ 4番(田中哲治)

では、もう1点お聞きをします。

今、坂井市に耕作放棄地、現状で直ちに耕作できる土地が約9町8反ほどあると思いますけれども、それら等々につきまして、体験型学習で、それなら開墾してと申しますか、農園にして、そのような体験型農園をつくる考えはないのでしょうか。



○ 議長(広瀬潤一)黒川産業経済部長。


○ 産業経済部長(黒川規夫)

今ほどの、坂井市で9.8ヘクタールほどの耕作放棄地ですか、すぐ手を加えれば耕作が可能な土地ということで、主に三国の丘陵地の方が9.8のうち9.5ヘクタールほどが三国の丘陵地地域といったようなことで、担当部署としましても、耕作放棄地のことについては大変重要なことでありますので、地元の農業者、地権者、そういった方の理解を得ながら、耕作放棄地の解消といった面からも含めて、今後、地元の方の理解が得られる中で進めていく必要があるというふうに考えております。


○ 議長(広瀬潤一)田中議員。


○ 4番(田中哲治)

では、話をちょっと変えます。実は、2005年から県中央会と小学校が主体で、食農教育の一環としまして、農業体験のそんなリポート方式で、子ども農業体験AGRIリーグということで、昨年、三国南小学校と長畝小学校と兵庫小学校が特別賞をいただきました。そのようなことで、これら等々につきましても、福井県だけじゃなしに、やはりそういうなことで農業を目指す親御さんが県外におられると思います。そんなことも、これから考えていかなければならないんじゃないかなというふうに思っておりますけれども、家族連れ、またそのような、親子は当然でございますけれども、その地域のかいわいの人、こんなことにつきましても、子どもを巻き込んだって、ちょっと語弊でございますけども、そのようなことは今後推進していくつもりはありますか。教育長、お願いします。


○ 議長(広瀬潤一)川元教育長。


○ 教育長(川元利夫)

それぞれの学校では、いろんな体験学習を行っています。特に、手っ取り早いのは、田植えをして、そして肥料をまいて収穫して収穫祭を行うという、そういう手っ取り早さでやっているわけであります。

しかし、これは自分の親が田んぼをしていない、いわゆる町の子どもにとっては非常に重要なものであるだろうと思いますが、それぞれの農業主体の学校においては、もちろんそれも大事でありますが、一番大事なことは、家庭でいかに農繁期に子どもを引っ張り出すかということであります。そう思いますね。つまり、お父さん、お母さんが一緒になって田植えに、その場に参加するとか、お父さんの田植えしてる姿を見せることが、僕は農業後継者づくりの大きな部分でもあるかなって。今は、なかなか難しいんです。お母さんも田んぼがどこにあるかわからんような状況の中で、子どもを田んぼに行くとか、収穫してるところを見させるなんていうのは、もうほとんどないんです。それであってはならんと僕は思いますよ。できたら、自分の田んぼを持ってるんやったら、自分の親は何とかして子どもを引きずってその場に行くとか、見させるとか、体験させるということがあって初めて、この田んぼをおれが受け継いで頑張るんやぞとか、こんなんやれなって、お父さんの夢を子どもに語ることによって後継者はできてくるんでないんかなと思っているわけでありまして、そういう点でも、PTAの方やら、皆さん、地域のいつも言うようなまちづくり協議会の方にもお願いをしながら、そういうものも普及していってくれたらいいかなと考えています。
もう一つだけお話しさせていただきますと、さっきも言いましたように、19の小学校はすべていろんな工夫をしてやっています。例えば、田中議員さんのところで言うならば、稲作はもちろんのこと、東十郷小学校と坂農が隣接していますから、坂農で養った豚の肉を使ったハムを実際つくるとか、お菓子をつくる体験とか、そういうことも、それからアレンジフラワーっていうんかな、そんなこととか、いろんな工夫をした事業を行っています。

それから、山本議員さんのところであれば、雄島小学校では、子どもたちにワカメをとってこさせて、ワカメを干して、そしてやっていくようなワカメ体験とか、あるいは三国西小学校であればラッキョウをやっていくとか、あるいは春江であれば白茎ゴボウを3年生に、種まきから、9月に種まいて、12月ぐらいに収穫するというような、そんないろんな工夫をいっぱいする中で、農業の大切さであったり、勤労の体験とか、そんなことも僕は身につけていくんでないかなっていうことを考えています。

そういう点で、先ほども言いましたように、農業者であれば、自分の子どもをいかにその場に立ち会わせるかということが、これからのお父さんお母さんの大事な部分なんでないんかなと。例えば、織物の関係のお仕事をしている保護者であれば、子どもをいかにそこへ、機械をがっちゃんがっちゃんやるところに、いかに長く見させるかっていうことが僕は課題なんじゃないんかなって、こう考えています。

以上です。


○ 議長(広瀬潤一)田中議員。


○ 4番(田中哲治)

よくわかりましたけども。初めの、我々お父さんお母さんが教えなあかんのは間違いないんですけれども、私の聞きたかったのは、都会からそういうな滞在型でそんなことを推進していくのかっていうのを聞きたかっただけで。もう1回、お願いします。


○ 議長(広瀬潤一)川元教育長。


○ 教育長(川元利夫)

大変貴重な、その体験学習であると思うけど、受け皿がなかなか難しいということもあって、さっき言ったように、竹田小学校で、キャンプで来て、そこで体験をするとか、そういうことはあったとしても、もう一つ、交流学習っていうのをやっています。例えば、平章と三国南が交流をしてやっていくとか、雄島であれば海浜のところのそういう部分があるだけで、外から受け入れてやるということについては、今のところそういう受け入れ体制はないということで考えてください。


○ 議長(広瀬潤一)田中議員。


○ 4番(田中哲治)

はい、わかりました。じゃ、もうこれで終わりますけれども。確かに、農業と観光、農業だけじゃなしに、商工観、これを一体となって坂井市が取り上げていかなければ、これから坂井市の経済は発展しないと、そのように思っております。

これで、私の質問を終わります。

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