2012年12月13日木曜日

平成24年6月定例会一般質問―田中哲治議員

皆さん、おはようございます。4番、新政会、田中哲治です。

通告に従いまして、今回は産学官事業連携について、現状と今後の展開、また大学との相互協力協定書の実施状況と今後の取り組みについて一般質問をさせていただきます。


21世紀は地方の時代と言われるように、政府・県からの権限移譲また規制緩和、平成の大合併等により、市民生活の中において市の果たす役割はますます大きくなっているのが実情ではないでしょうか。

今後、市の発展、さらには地域間競争の激化で、地域を発展させていくためには新しいものをつくり出していく環境づくりが必要不可欠と考えております。

今、産・学・官の各界において産学官連携の重要性が高まっております。産学官連携の環境整備が進められている中でさまざまな取り組みが行われております。もとより、産学官連携は手段であって、それ自体は目的ではございませんが、連携によって、大学のシーズ、いわば事業を生み出すことでございますけれども、それの事業化促進を図り、地域、企業の競争力強化をつなげることも必要と言われております。

このような中、本市の年次別工業の状況統計で従業員数4人以上の事業者数と製造出荷額を見ますと、平成22年度の統計で372社、製造出荷額は約317億円で、5年前の平成17年度と比較いたしますと、事業所数は84社減少、製造出荷額で約31億円の減額であります。また、製造額につきましては約1割落ちております。坂井市の人口1人あたりに換算しますと、5年で約3万3,000円の出荷額の減額となり、これにつきましては雇用環境にも大きく影響しているのではないかと思っております。

さきの市長の招集あいさつにもありましたが、企業誘致について昨年度より新規進出等の計画、協議が数社から寄せられているとのことで、ぜひ支援制度や適地などに全力を注いでいただきたいと思っているところでございます。

しかし、我が国の経済については、皆さん御承知のとおり、欧州通貨のユーロや米ドルに対して円高が進み、我が国の輸出産業に大きなダメージを与えております。製造業や電子産業、またガス化学工業も海外移転の加速で我が国はどうなってしまうのかと危惧されるところでございます。

先般も新聞報道で、本市にも工場のある半導体大手のルネサスエレクトロニクスは3年以内に国内工場の半数売却また閉鎖で整理し、工場の社員4,000人を減らす方針を固めたことで、今後、本市にも雇用などで大きく影響を及ぼすものと思っているところでございます。

このように厳しい状況下ではありますが、産学官連携が重要であると言われ、全国的にも積極的に進めている自治体も少なくありません。

先般の研修先で青森県十和田市では、積極的に産学官連携を進めております。一例を申し上げますと、グリーン・ツーリズム事業においては、青森中央学院と、産業・教育・文化・歴史、さらには経済などの分野において相互に協力し合い、活力ある地域社会の形成と発展を目的として、平成20年に産学官連携を協定締結し、海外からの受け入れの際には大学から通訳を派遣していただき、農家との意思疎通を図っている状況でございます。そのほかにも、北里大学と和牛ブランド化確立のために調査業務をしており、血液プロファイルテストや免疫検査の測定を実施し、事故防止や成績向上のための指導を実施しております。また、県立保健大学生の実習受け入れや研修等を実施しまして、十和田市立病院との保健・医療・看護における連携を図って成果を上げているとお聞きしております。

本市でも、昨年5月24日に福井工業大学と防災・教育・産業などの分野で相互協力し、相互協力協定書を締結しましたが、これらについても、産業・教育・文化・まちづくりなどの分野で協力し、地域の発展と人材育成のために、県内の大学などとの連携による各事業に寄与を願いたいと思っているところでございます。

そこで、次の3点についてお伺いをいたします。

1点目は、民間企業の「産」が、大学などの「学」、公設の研究機関や行政機関の「官」と連携をとる産学官連携は、大学や研究機関が持っている専門的な知識や設備の協力を得ることで、企業だけでは解決できない問題を解決したり、新製品を開発したりできる有効な手段はないかと考えますが、本市における産学官連携事業の現状についてお伺いをします。

2点目は、産学官連携事業を進める中でいろんな考えがあると思われます。一例ですが、ある自治体では、新たなビジネスチャンスを模索するときに、大きなものより具体的なもの、身近なものを考えていく方針であるとのことですが、本市の今後の産学官連携事業の展開についてどのように考えておられるのか、お伺いをします。

3点目は、先ほども申し上げましたが、昨年、福井工業大学との相互協力協定書の6事項についてでございます。

1つ目には、災害対策のことで、安全で快適な生活環境の整備に関すること。2つ目、地域と連携した生涯学習の支援に関すること。3つ、産学官連携による観光と産業振興に関すること。4つ、環境の保全と自然との共生に関すること。5、政策課題に対する分析と解決に関すること。以下、その他必要な事項、これらの事項の実施状況と今後の取り組みについてお伺いをします。

以上の3点について理事者の答弁を求めますので、よろしくお願いをいたします。



議長(釣部勝義)坂本市長。


市長(坂本憲男)


おはようございます。田中哲治議員の産学官連携事業についての御質問にお答えをいたします。

市民の多様で高度化するニーズにこたえていくためには、地域の英知を結集して課題解決を図ることが必要となってきております。また、知的拠点である大学との連携・協力の必要性が高まってきております。

市では、昨年の5月24日に福井工業大学との相互協力協定を締結し官学連携を強化する中で、防災・教育・観光・産業・政策課題などの各分野で相互に協力し発展し合うとともに、大学が有する高度な知的資産や人材等を施策形成に生かし、個性豊かで活力あるまちづくりに努めていきたいというふうに考えております。

まず、産学官連携事業の現状についてということでお答えをさせていただきます。

産学官連携事業の現状としては、市の審議会や各種委員会への講師派遣、大学生の就職支援、大学の公開講座への職員参加など、人的交流を主体に連携をしている状況であります。

そのほかにも、官学連携協定前の平成22年度では、坂井市商工会のPRのため、輸送トラックに掲載するデザインを福井工業大学に作成していただき、トラックにラッピングした取り組みも行われております。

次に、今後の産学官連携事業の展開についてをお答えをいたします。

今後の産学官連携事業の展開としては、相互協力協定の協力事項にある産官学連携による観光と産業振興に関することの取り組みとして、企業間連携による商品開発とデザイン、情報の発信方法、販売開拓等に係る相談と共同開発などの調査・研究を行う中で現在の官学連携を発展させていきたいというふうに考えております。

次に、大学との相互協力協定書の6事項の実施状況と今後の取り組みという御質問でございますが、相互協力協定書にある6事項については、1つ目に災害対策などの安全で快適な生活環境の整備に関すること、2つ目に地域と連携した生涯学習の支援に関すること、3つ目には産官学連携による観光と産業振興に関すること、4つ目に環境の保全と自然との共生に関すること、5つ目に政策課題に対する分析と解決に関すること、6つ目にそのほか必要事項となっております。

6事項において共通している内容では、専門委員の派遣として市環境審議会委員や市学校給食センター建設に係る審査委員に入っていただいております。

大学生の就職支援についても、平成23年度の市内企業へのインターンシップ参加として4社、5名の実績がございました。

また、大学の公開講座への職員参加については、8講義で11名の職員参加があり、学生との協働では、児童・生徒を対象としたサポート事業として、市内の小学校や公民館・児童館に学生が出向いて化学実験をするキャラバン隊が3回開催され、267名の児童・生徒が参加をいたしました。

今後の相互協力協定に関する取り組みとしては、本年の10月12日から14日に開催されます市産業フェアへ大学ブースを設置するなど、実行委員会に参加をしていただいたり、また市の総合計画審議会委員に入っていただき、各種基本計画の立案に参加していただくなど、大学との連携をより深めていくことで産学官連携への礎にしていきたいというふうに考えております。

そして、最終的には市内の産業界のさらなる発展につなげていきたいというふうに考えておりますので、議員各位の御支援また御協力を賜りますように、よろしくお願いをいたします。


議長(釣部勝義)田中議員。


4番(田中哲治)


再質問をさせていただきます。

今、市長の答弁の中で非常にわかりやすく回答いただきました。その中で、産学官連携の現状についてでございますけども、人的交流を主体としていたり、また商工会とのトラックデザインを作成したり、大学との意思疎通を図っているというふうな回答でございました。

実は、坂井市においても、いろんなことで、今、産学官連携を行っております。5、6年前には、坂井町にあります製薬会社では、既に県と大学と連携いたしまして、主にカニまたエビ殻をそのようなことで製造されるN-アセチルグルコサミン、またラッキョウから抽出されるフルクタン、これら等々で商品化をされていることは御承知かと思います。そのようなことで、これから市のまたそのようなことで、特産といたしまして、今後やっていただきたいなと。

また、隣の永平寺町では、既に御承知のとおり、ある食品会社がごま豆腐、それに向けて西洋菓子、お菓子とまた豆で豆腐の生チョコレートですか、これを大々的に販売して非常に成果を上げていると。7年前に農林大臣賞をいただいて、この社長さんの話を聞くと、やはりいろんなところで、研究センター、また福井の支援センターへ足を運びながら、そのようなことで調査研究をしたというお話を聞いております。

そこで、今ほど市長さんの答弁にありまして、いろんなことで、今、研究をしているということでございますけども、今後、具体的にどのような取り組みをするのか、またどの商品を取り組みをするのか、今現在、御承知のとおり、大麦につきましては全国で3割を福井県は占めております。その半分以上が坂井市ということで、御承知のとおり、麦とろ麺、これも県内で約1万3,000箱ほど、そのようなことで販売しているわけでございますけれども、これら等々につきましても、いろんな、ビール、しょうちゅう、これも福井市内でやっているところもございますけれども、やはり坂井市のそういうな特産をこれから産学官連携をしながらやっていけないか、これら等々を1回お聞きしたいと、そのように思っております。


議長(釣部勝義)坂本市長。


市長(坂本憲男)


今、農業問題については、坂井市というのは穀倉地帯っていうこともありまして、いろんな丘陵地また砂丘地等々もありまして、大変重要なことでありますし、こういった農業問題についても、今後、今は福井工大との、工大と今連携を結びながら、いろいろとまた御指導もいただきながら、またこの連携というもの、この事業を推進していかなければならないというふうに思ってますし。特に、今何をするかということでもなし、市としてもいくつか、福井工大の方に出向いて、こういうことはできないかということもお願いもしてきましたが、ちょっと厳しい状況ということ、こっちから無理な点もあったわけでございますが、実際には今は動いていませんが、まず私は大きな期待をしているのは、学生、これからの将来を担う、18から22歳っていうんか、福井工大ですと、これから将来を担う、そういう学生たちが、これからの将来っていう、どういうふうにこの将来を考えるか、産業の問題にしてもそうだと思いますし、そういう気持ち、そういう若い力と考え方、そういうことをどういうふうに思ってるかっていうのは、学生の皆さん方の意見をちょっとお聞きしたいなというふうには私は思っています。それも含めて、この農業問題についても、今ほど、田中議員、ラッキョウの問題とか豆腐の問題とかいろいろ挙げましたが、それも含めて、若い人の考え方っていうのは、まずそれを聞くことが大事かなというふうに思っていますし、これからも大学生とのそういう交流も深めていきながら、この地域の産業等も含めて連携をしていくことが望ましいかなというふうに私は思っております。



議長(釣部勝義)田中議員。



4番(田中哲治)


今の市長の答弁で、非常にわかりやすく、ありがとうございます。私も今は農業問題について質問させていただきましたけれども、これら等々につきましても、集落へ帰っても、やはり若い人がなかなかいないということで、今、市長が言われました若い力を私どもも聞き入れながら、市の産業の発展に努めてまいりたいと、そういうに考えているところでございます。

もう1点でありますけれども、昨年5月24日に福井工大との相互協力協定書の6事項、先ほどの回答では、なかなか今は進んでいないということでございますけれども、これら等々につきましても、ただ先ほど、工大だけじゃなしに、今、ほかの自治体では、坂井市内には職業系の高校もございます。いくつかね。農業高校、工業高校、あと商業科とか、それら等々もうまいこと利用してやっている自治体もございますけども、これら等々、突然でございますけども、教育長、このことはどのように考えておられるのか。


議長(釣部勝義)教育長。


教育長(川元利夫)


今、突然の御質問なんですが、現在、高校を卒業する子どもたちは8,000人福井県にいるわけであります。8,000人のうち、大学を出るのが5,000人余りであります。福井県としては4つの大学がありますので、そこの受け皿が2,000人から2,500人ということになりますと、県外へ出るのが3,000人であります。そこで、4年たち5年たちして大学を出て就職ということになりますと、地元に戻る青年が1,000人であります。3,000人出て、1,000人しか戻らない状況であります。そういうことであると、2,000人の子どもたちがもう戻らないということになるわけでありますが、そういう面では、いわゆる魅力的な地域の産業であったり、そういうもの、地盤、それから産業の確立基盤、そういうものをどんどん広げていく、何とかして子どもたちが生まれた地元に戻って生活ができるような、そんな地域になったらいいかなっていうなことをまず思っています。

それから、現在、春江工業、坂井農業高校とか、あるいは金津高校、三国の家政科など4つの産業系の高校があるわけでありますが、御承知のとおり、今、統廃合という形で、だんだん普通の大学を出て、そこからそれぞれの専門的なところに進みたいというような傾向が多いんであります。実際、高校に入って、そこでしっかりと基礎、基本とかいう、そういう専門性を身につけて出ていくというのが、余り希望者がだんだん少なくなってきていると、子どもの数が少子化ということもあるんですが、そういう部分であって、普通科に入りたいけれども入れなくて商業科に入ってしまうとかっていう部分もあるということで、そういう統廃合に進んでいるわけでありますが、これもいろいろまた県としても魅力的なそういう部分で新しい産業高校が坂農でできるということ、26年4月1日からできるということでありますので、そういう面では、今、田中議員さんが言われるような魅力的なそういう受け皿みたいなものができてきたらいいかなと思っています。

それから、もう一つだけ。坂井市には600人の先生がいるわけでありますが、この先生方も、キャリアアップ、専門性を高めて子どもたちに還元していく、いかにいい指導力を持って子どもたちに接していくかということが僕は大きな課題であると思います。

そこで、35歳から45歳までの先生方を3年間キャリアアップとして他のブロックに出すという、そういう方向を示されておりますので、私のところは大体その10年間で150人ほど対象者がいます。そのうちの1割ということですので、15人を常に毎年外へ出します。そのかわり、もちろん外からも15人受け入れさせていただいてキャリアを積んでいただくということと、もう一つは、産官の連携っていうなこともあって、福井大学では大学院生というものを非常に先生方のキャリアアップを頑張っているわけでありますが、私ども、丸岡南中学校を拠点校として、そこで1人ないし2人の大学院生を募って、現場の先生で実際授業をしながら、そこで研修を重ねていって2年間のキャリアを積んでいただくと。そして、またそれが輪となって広がっていくというような、いろいろそういうことも工夫しながら、とにかく大学との連携を深めていきながら、少しでも、その学力であったり、体力であったり、あるいはそういう子どもたちの生きがいとしてのキャリア教育というものに力を入れていきたいと、そのように思っています。

以上です。


議長(釣部勝義)田中議員。


4番(田中哲治)

次に、今、予算特別委員会で、話は変わりますけども、工業振興対策事業で250万円、これは1回質問させていただきましたけれども、これら等とも繊維のそのようなことで、産学官連携に非常に等しいんじゃないかなというふうに思っております。これら等々につきましても、今、250万円ほど、3ケ年変わっておりませんけども、これら等々につきましても、やはりそういう厳しい時代ではございますけども、これからやはりどしどし積極的に市としてもやっていただきたいなと、そういうに思っておりますけども、そういうな考えはございますかね。


議長(釣部勝義)産経部長。


産業経済部長(黒川規夫)


工業振興等の振興策としまして予算等掲げてございますが、やはり地元の企業、また主に繊維組合と連携を図りながら、新たなその事業の取り組みをしていかなければならない。今、いろいろ、国との中でもいろんなマネジメント等のこともやっておりますので、今後またそういう新たな事業の取り組みに積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。


議長(釣部勝義)田中議員。


4番(田中哲治)


ありがとうございます。

最後に、先ほど市長より今年の産業フェアにも産官学のいろいろな連携のコーナーをつくるということで、ぜひともこれはお願いしたいなと、そういうに思ってるところでございます。産官学連携事業は今すぐできるものではございません。私らも調査を重ねながら、市としてもやはりそのような環境づくりに努めていただきたいというふうに思っているところでございます。特に商工業の新製品の開発やら、また農業の新商品のいろんな素材等々、これら等々にも御支援をいただきながら、新たな発想に向けて取り組みを要望いたしまして、私の一般質問を終わらさせていただきます。

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