2011年3月15日火曜日

平成22年12月議会の一般質問(古屋信二議員)

2番(古屋信二)2番、新政会の古屋でございます。



通告どおり、一般質問をさせていただきます。その中で、大きく分けて2項目3点を質問させていただきます。


1つ目ですが、年々、農村部は農作物の鳥獣害による被害が深刻になっております。県の鳥獣害対策室によりますと、昨年は446ヘクタールで、1億3,200万円の損失でありました。それに対応し、自公連政権時代に誕生した鳥獣被害防止特別法の鳥獣被害防止総合対策交付金で、農水省は生産者やJAでつくる対策協議会にハード・ソフト両面で支援してきましたが、政権交代が始まった事業仕分けを受け予算は大幅に削減し、特に防護さくなどハード事業は要求額の4割にとどまり、事業計画の縮小・変更を余儀なく、その結果、地元では住民総出でなれないさくの設置を施工し、設置の範囲も縮小いたしました。

しかしながら、福井県は今年の9月の補正予算で、野生動物を防ぐネットさくを整備する費用の半分を補う補助対策を打ち出し、残りの整備範囲も施工できる見通しでございます。

しかし、現状はクマが人里に出没し人を襲う事件が多々あり、住民が不安となっております。その要因について、私は今年の猛暑や人間の自然破壊で山にえさがなくなったっていう現状に合ってないと思います。広葉樹を伐採し、針葉樹を植林する拡大造林はほとんど行っておらず、反対に広葉樹を植栽する例もふえています。人間が無意識のうちにやっているえづけをやめることが大事だと思います。それは、未収穫の果実であったり、簡単にあけられるごみ箱やコンポスト、山に残飯等を捨てていると思います。人間の食べ物の味を覚えた野生動物は、最終的に駆除されることになります。人間にとっても動物にとっても、最後は不幸な結果となります。

このため、鳥獣害を里山に出没させない仕組みを構築するなど総合的な鳥獣害対策を実施し、農作物被害、人身被害を防止することが必要でございます。

既に、越前市や鯖江市、小浜市など4市町村では、農地と山林の境界をはっきりさせ、さらに障害物を置いてイノシシの出没を防ぐ取り組みを実施しております。

また、平成20年、坂井市農林環境計画においても、取り組むべき事項としていくつか挙げられています。鳥獣害のない里づくりについて、坂井市の取り組みの所見をお伺いします。

2点目は、農村部の過疎化、高齢化に伴って里山が荒れたり、耕作放棄地がふえていることに、里地里山保全をどのように支援していくか、所見をお伺いします。

2つ目ですが、地籍調査について質問させていただきます。

特に、福井県においては地籍調査の進捗が13%と、全国平均49%から大幅に下回っております。都道府県別においてもワースト6位でございます。平成18年9月議会においても高間議員さんが質問し、そのとき、坂井市の暫定計画地域面積34.6キロ平方メートルに対し17.3%で、市長の回答はできるだけ早く対応していく必要があると答弁しております。

しかしながら、手間と時間のかかるのは承知の上ですが、地籍調査は住民や都市計画にとってもメリットが大きく、住民負担なしで実質5%程度の市の負担の少ない事業でもありますので、再度一般質問に上げさせていただきました。

そこで、現在の進捗率と、地域集落の要望があっても調査着手に7、8年かかるという現状をどう解決を図るかお伺いいたします。

以上でございます。


○ 議長(山田 栄)坂本市長。


○ 市長(坂本憲男)

古屋議員の御質問にお答えをいたします。

まず、鳥獣害のない里づくりに関する坂井市の取り組みについてをお答えをさせていただきます。

これまで、特に鳥獣被害の多い丸岡地区では、坂井市合併以前の平成15年度から平成18年度にかけて、電気さく約22キロメートルを設置し、また捕獲おりも設置して、農産物への被害防止に取り組んできたところでございます。

しかしながら、年々個体数が増加傾向にある中、近年ではイノシシ、ハクビシン、アライグマやツキノワグマなどの目撃情報や人的被害も出ており、人的・物的被害を完全に防止することはできないと思います。

このような中、本年度は、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用し、さらなる侵入を防止するために、地域ぐるみの設置作業によって山際に侵入防止金網さくを11.5キロ設置するとともに、イノシシ用捕獲おりを20基山際の地区へ設置し、被害防止策を講じたところであります。

さらに、有害鳥獣を里山に引き寄せないためには、廃棄農作物の処理や収穫しないカキ・クリなどの撤去、お墓のお供え物やキャンプ場のごみは持ち帰るなど、未然に防ぐ対策として、山際地区に回覧で周知をしたところでございます。

今後も、関係機関及び関係団体と連携・協力していきながら、継続した取り組みを行っていきたいというふうに考えております。

また、今年は、特にブナやミズナラなどの凶作により、ツキノワグマがえさを求め、人里に多数発見をいたしております。本年は、現時点で39件のツキノワグマの出没情報が寄せられています。

市では、坂井警察署などと連携を密にして出没状況の把握に努め、丸岡町内の防災無線での放送、周辺学校や区長への連絡、電子メール配信システムの「安心安全情報ネットワーク」情報配信、県運営のクマ出没情報ホームページへの情報提供などを行っているところでございます。

また、丸岡地区の防犯隊と連携をとり、山際の地区に対して広報パトロールを実施をいたしました。

11月中旬からは出没情報が報告されていませんが、引き続き警戒をしてまいりたいというふうに考えております。

次に、里地里山保全をどのように支援していくかについてお答えをさせていただきます。

市内の里地里山である丸岡東部地区や竹田地区の山際を中心に、イノシシやシカなどの野生動物による農産物への被害が発生し、深刻な事態となっております。

このため、有害鳥獣を里山に出没させない仕組みを構築するなど、総合的な鳥獣害対策を実施し、農産物被害を軽減することが必要であります。

坂井市では、本年度、県単の公的間伐事業を活用し、集落周辺の山際3.4キロメートルを枝打ち、また間伐を行いまして緩衝帯を整備しましたが、先ほど申し上げました捕獲おりや侵入防止さく、電気さくなどの複合的な防止策とあわせて、地域住民による日常の草刈りなどにより山際管理を徹底することで、さらにその効果が発揮されるものであるというふうに考えております。

イノシシを初めとする有害鳥獣対策は一朝一夕になし得るものではないわけでございまして、長い期間をかけて粘り強く行う必要があると考えております。

今後も、坂井市鳥獣害対策協議会を初め、市と関係機関が連携し被害防止に対する取り組みと支援を進めてまいりますので、御理解とまた御協力をお願いしたいと思います。

次に、地籍調査に関する御質問にお答えをいたします。

本市における地籍調査事業の進捗率は、平成21年度末で15.0%であり、これは県内平均と比べて高くなっています。しかしながら、全国平均約49%を大きく下回っている現状にあります。

坂井市におきましては、合併時には農林水産課内に担当者1名を配置して事業対応しておりましたが、平成19年度からは産業経済部内に地積調査室を設置し、専任職員3人で事業推進にあたっているところでございます。

地籍調査を実施するメリットとしましては、登記所の地図や登記簿と土地の現状が一致し、土地の売買や分筆・合筆が円滑化する。また、土地の境界が明確になることで、隣地との境界など土地に係るさまざまなトラブルを未然に防ぐことができますし、また境界の位置が復元可能な座標で管理されているため、地震、土砂崩れ、水害等の災害が発生した場合にも復旧が容易となります。また、土地の境界の確認や所有者の実態の把握が簡単にできるため、道路や下水道などの公共事業が円滑に行えますし、また面積が正確に測量されるため、固定資産税の課税の適正化、公平化に役立つ、こういった利点があるわけでございまして、事業の効果を具体的に説明し、周知・啓発した結果、今では多くの地区から事業に対する御要望をいただき、長期計画により順次事業を進め、平成31年度までに整備をしていく予定であります。なお、国においても、地籍調査事業の一層の促進を図るため、国土調査法等を改正し、特に地方自治体が地籍調査事業に取り組みやすいようにするため、国が実施する基本調査の拡充や業者に対する委託業務の範囲をこれまで以上に広げていくなど、民間活力の導入により、実施体制の強化などの方針を打ち出しております。

今後は、法改正の趣旨にのっとり事業を実施していきたいというふうに考えています。また、事業手法についても、境界についても解決ができないような場合は、筆界未定もしくは除外地として処理し、事業期間を短縮し、さらなる事業の推進に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。


○ 議長(山田 栄)古屋議員。


○ 2番(古屋信二)

もう少しちょっと具体的に質問させていただきます。

福井県は、山地災害防止のため間伐を坂井市丸岡東部の山際へ行い、緩衝地帯を整備してきました。実際には、内田、田屋、女形谷、野中山王、山竹田の3.4キロしかなく、鳴鹿地区なんかはほとんどまだ整備が行っていないかと考えております。

また、過疎化、高齢化に伴って地域住民が行う緩衝地帯の管理が難しくなっています。そのことについて回答がまだのような気がしますので、そういうところの所見をお伺いいたします。

それと、坂井市の林業費における予算は、ほとんど林道の整備とか松くい虫の防除が主な事業でございます。鳥獣害対策に有効であると考えております森林整備の事業や、里山の森林づくりの事業の見直しが必要かと考えております。そのことから、安心して農作業を行えるよう山際の緩衝地帯の不要木の除去や、やぶの刈り払いに対する支援が必要と考えるが、そこら辺あわせて理事者側の所見をお伺いしたいと思います。


○ 議長(山田 栄)亀嶋産業経済部長。


○ 産業経済部長(亀嶋政幸)

ただいま再質問のありました県の間伐事業でございますが、確かに山地災害防止のための公的間伐事業というなことで、県単事業で、内田地区450メートル以下5地区で3.4キロの間伐事業を行ったという実績がございます。鳴鹿地区の話も出ましたけれども、今後、そういう間伐、また草の下刈り等々をしなければならない地区、面積等々も関係機関、坂井森林組合等々も十分調査しながら中長期的に実施したいなというふうに思っておりますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。

また、鳥獣害以外の緩衝地区についての具体的なというような質問でございます。

確かに、そういう、今年は特に異常気象等々も相まって、また果実等も少ないというなことで、イノシシにしても、クマにしても里山の方へおりてくる件数が、坂井市だけでなく、全国的にも非常に大きいものがございました。

これも、長い目で見ると、やはりそのクマとかイノシシ等々の獣害が生息する山、森林地区を、人間といいますか、全国的にそういうすみか開発、住宅開発等々によって侵食していったというようなことも考えられるんじゃなかろうと思います。

そういうなことで、林道また林道等の整備についての御質問でございますけれども、確かに、今、林業の予算については、特に三国町地区を重点的に松くい虫の駆除というようなことで、あと丸岡の中山間の林道整備の負担金、また市単独の県単も含めた林道の整備等を行ってきております。それで、不要木の状況等々の話もございましたけれども、今後はその林道整備等もあわせまして、坂井市の森林地域の環境整備にあたっていきたいなと、このように思っておりますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。


○ 議長(山田 栄)古屋議員。


○ 2番(古屋信二)

長期的に実施していくということですので、必ず施策をしていっていただきたいとお願いいたします。

次に、地籍調査の方でちょっと再質問さしていただきます。

国では、第6次国土調査事業10ケ年計画が閣議決定いたしました。ぜひこの10年間の機会に重点的に進捗を上げていただきたいと思ってます。

先ほどの市長の答弁にも、31年度までにという目標がありましたので、数字的な目標っていうのはちょっと聞いてございませんので、何か10ケ年の目標として進捗率が数字的にありましたら、御答弁をお願いいたします。


○ 議長(山田 栄)亀嶋産業経済部長。


○ 産業経済部長(亀嶋政幸)

確かに、今、議員おっしゃられるように、第6次地籍調査の10ケ年計画というなことで、中期計画になると思いますけれども、坂井市としては、平成31年度をめどに10ケ年計画を今立てているところでございます。

質問にもございましたように、その地籍調査事業というのは非常に地味な仕事で、今言うハード事業みたいに、投資すれば翌年また2年後にばんとその成果として出てくるというようなものじゃないんですが、それぞれの民地の境界を決めて、明治の30年代の地租改正の古い地図ですね、絵図、それを今の現況に合わせようというような作業でございます。

現実的には、現状に合ったその明治時代の構図を修正するというなのが基本的な事業でございまして、非常に時間と経費を要する事業でございます。予算的な数字だけでなく、それ以上の非常に難しい厳しいところがございます。

また、小さい集落でも、市直営でやる部分、それと業者委託にかける部分というなことで、A工程からH工程までございますが、それを治山集落でも幾ら早くしても、大体その地籍図、登記所へ送付して認証までに、今までの実績を見ますと3ケ年は要するというなことで、大きい集落になりますと、それが5年なり7年なりかかるということで、非常に進捗がなかなか思うように伸びないというなのが現状でございます。来年、平成23年度から31年度まで、それぞれ集落等施工計画してございます。31年度まで想定される事業費として、約1億5,000万円を見ております。その財源内訳は、国庫が7,500万円、県費が3,750万円というなことで、残りの補助残の分についての80%は特別交付税で交付されるというなことで、実質的には市の一般財源のが5%ぐらいで済むだろうというなことで、非常に有利な事業でございますので、今後やはり各集落の非常に大きな協力を得ながら地籍調査を進めていきたいなというふうに思っております。


○ 議長(山田 栄)古屋議員。


○ 2番(古屋信二)

もう一度だけ、最後にですがお伺いしたいと思います。地籍調査の関係ですが、私ども調べますと、進捗率を上げる方法として民間活力、今部長もおっしゃったと思いますが、例えば土地の家屋調査士や地籍のアドバイザーという方の専門的な知見、能力の活用が不可欠であると専門家も言っております。そういった人をフルに活用して、31年度まで進捗を上げていただきたいと思ってます。

それで、やはり住民の協力、かなり職員も労力が要る、本当にストレスのかかる仕事だと思います。それで、やっぱり先にしてほしいっていう優先順位とかあると思います。その方はどういうふうにお考えしているのか、ちょっと最後ですが、質問さしていただきます。


○ 議長(山田 栄)亀嶋産業経済部長。


○ 産業経済部長(亀嶋政幸)

民間活力の話出ましたが、先ほど市長の答弁にもございましたように、今の法律が改正されまして、今まではその委託に回せなかった部分についても業者委託に回せるとか、そしてそういう基準もかなり緩和されたというなことで、国を挙げて地籍調査事業を推進しているというようなことでございますので、それに適応した対応をとっていきたいなということを思っております。

また、その流れですね、土地家屋調査士、またそういう土地に精通したアドバイザー等々民活の話も出てまいりましたけれども、その採択基準に合うような場合には、極力そういう民活もフル活用して地籍調査を進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。


○ 議長(山田 栄)古屋議員。


○ 2番(古屋信二)

どうもありがとうございました。なかなか大変な労力なんで、本当に一生懸命推進をお願いしたいと思います。

ということで、推進に向けたいろんな確認をすることができましたので、私の一般質問を終わりたいと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿