2011年3月15日火曜日

平成22年12月議会の一般質問(上出純宏議員)

3番(上出純宏)皆さん、おはようございます。3番、新政会の上出純宏です。



私は、9月に引き続き、観光政策と教育文化のことについて一般質問をさせていただきます。


まず、観光政策についてですが、福井県では観光推進政策の一環としまして、大学などのゼミやスポーツの合宿を福井県内へ誘致しようと、22年度から宿泊助成金を予算化しまして各市町に事業参画を呼びかけたところ、嶺北では我が坂井市と永平寺町を除く、福井市、あわら市、勝山市、大野市、越前市、鯖江市、越前町、嶺南では美浜町がこれに乗って事業を進めました。こういうふうな合宿は福井県でということで出ているわけです。おいしい食べ物、おいしい水、おいしい空気に恵まれた健康長寿の郷「福井県」、福井県では以下の市町で合宿する学生団体様向けに宿泊助成金を用意していますっていって、下に地図がありまして、この地図のところで坂井市は白く抜けております。これ見まして、びっくりしまして。市町によって助成金や条件は若干異なりますけれども、大体延べ20人泊以上の条件を満たせば、最大で1人1泊1,500円を個人分として助成するという制度です。そのうちの500円を県が補助しますよということです。この20泊ということで言いますと、例えば5人が4泊して延べの20人と、10人が2泊すれば20泊という形になりますので、一度に20人来なくても、10人でその条件を満たすれば補助金を出します。それは、補助金は個人に渡すと、申請をしてもらえば出しますよということでございます。

4月から9月までの実績を調査しましたら、福井市では6,949人、あわら市は3,302人、勝山市は3,849人、越前市は660人、鯖江市は187人となっています。大野市はちょっとデータが出てきませんでした。

今後の予想では、福井市は約1万人、あわら市が5,800人、勝山市が4,800人、大野市は約6,500人、越前市が1,300人を見込んでいるそうです。福井県の観光営業部の担当者のところも訪問しまして、この事業の経過やその成果について尋ねました。当初の計画よりも大幅な成果が上がっているので、当初、県でも1,000万円ほどの予算だったものを3,000万円に補正しなければならないということになったそうで、来年もこの事業は続けられるんですかっと伺いましたら、事業の継続を考えているということでした。

また、実際に越前市の方に運びまして、そこの観光、この事業を担当している箇所へ実態を聞き取りに参りました。当行政側としては、特に何をするというわけではないそうです。例えば、誘客活動につきましては、ここにあります、こういうふうな各市町で、これが福井のやつ、これが大野ですね、これ越前町、ちょっと越前市のやつはもらえなかったんですけども、こんな形でパンフレットは製作していますけれども、最も効果が大きいのは、福井県の観光営業部が積極的に学生合宿を専門に扱う旅行エージェントなどに働きかけてくれているそうです。

また、合宿の費用などは学生と宿泊先との交渉で決まるということなので、行政側では特に助成金の申請手続を行っているだけだと聞きました。越前市の方によると、体育施設やら宿泊施設がどこよりも整っている坂井市さんではなぜ取り組まなかったのですかと、逆に聞かれたくらいです。坂井市さんが始めるとお客取られてまうけどのみたいなことも、ちょっと言ってました。

これだけ成果の上がっている事業に、なぜ坂井市が取り組まなかったのかも、喉もと過ぎたので、あえて問いませんが、次年度、平成23年度においては、これに取り組むことはできないでしょうか。

また、この制度に取り組んだ場合、坂井市が所有する体育施設や文化施設を学生が利用する利用料などについて、今、教育委員会では指定管理者が管理していますけれども、事業推進するためには、やはり少し学生の側においしい条件ということも与えてあげることによって事業をより推進すると考えますので、ある程度の便宜を払うことも検討してはいかがかなと考えますので、これについて教育委員会の見解も伺いたいと思います。これが観光政策の1点。

次に、十郷用水に関して伺います。

十郷用水は、約1000年ほども前に坂井平野を穀倉地帯とするために、先人が血と汗と涙と、そして財産を投じてなし遂げた大事業であります。そのおかげで坂井平野の今の繁栄があると言い切っても過言ではないと思います。その思いは、関係集落の皆様には一般市民以上に非常に強いものがございますから、昨年の11月には東十郷地区で、今年の3月には磯部地区で地域用水対策検討協議会がそれぞれ立ち上がって、ワークショップなどを通じた意見交換や、その価値の重要性を再認識するなどの努力が重ねられております。

2日前の12月4日には、十郷用水の恵みを生かすという提案を持って、地域用水シンポジウムが開催されたところでございます。その十郷用水を愛して啓蒙運動にかける熱い思いに対しまして、まずもって心から敬意を表するところでございます。もしもこうした啓蒙活動を行わなければ、50年後100年後の十郷用水の恩恵に預からない世代の時代になったときには、別な形での利活用がなされてしまって、先人の偉大な偉業は歴史の片隅に埋没していくのではないかと危惧されるところでもございます。

私も、自分の専門的な立場からこの十郷用水を検証するために何かいい知恵はないかと考えておりましたところ、先日、金沢の景観を学習するという機会を得まして、そのときに金沢市の辰巳用水、これが本年の2月22日に史跡として国の指定重要文化財になったということを知りました。この辰巳用水は、今から380年ほど前に工事されたものです。そのとき、ふと思いついたのは、千年もの歴史を持つ我が坂井市の十郷用水も十分に史跡の指定にできるのではないかなということでございます。

幸いなことに、この12月の議会に文化財保護条例の改正が上程されました。この条例の最も大きなメリットは、第17条に加えられていました、登録文化財の新設でございます。従来は、形状を変えないという前提に立って、重要な文化財を保護するという指定という制度のみだったものから、国は平成8年に一部の形を変えてでも保存すべきという発想から、登録という制度を新たに文化財保護法の中に加えました。しかし、地方自治体ではこの登録制度を取り入れたところはほとんどありませんので、今回の条例の改正は非常に高く評価したいと思います。

十郷用水は、辰巳用水のように昔ながらの遺構が残っているものではありませんが、そういう意味でいうと、指定という枠ではひょっとして難しいかなとは考えますけれども、この登録文化財制度においてならば、十郷用水を史跡とするようなことは可能ではないのかなとちょっと思ったわけです。

坂井市の指定文化財となるには、審議会が答申をしてから決まっていくということで、市が指定について答えるというわけでございませんが、私のこういう思いについて、教育長の見解を伺いたいと思います。

この2点、よろしくお願いいたします。


○ 議長(山田 栄)坂本市長。


○ 市長(坂本憲男)

上出議員の御質問にお答えをいたします。私の方からは、学生合宿誘致事業の制度化に関する御質問にお答えし、また合宿誘致事業における教育委員会の見解、及び十郷用水の史跡指定については教育長からお答えをさせます。

それでは、御質問の学生合宿誘致事業の実施についてお答えをさせていただきます。

今ほど、上出議員からもお話ありましたように、県では教育旅行誘致推進事業補助金として、合宿宿泊助成制度を本年度から実施をいたしております。この助成制度は、県外の高校・大学の合宿誘致をするために、団体で延べ20人以上が合宿した場合、1人あたりの合宿費に対し500円を限度に、2分の1を助成制度の実施自治体に対しまして県が補助するという内容でございます。

確かに議員御指摘のとおり、県内17市町のうち8市町がこの事業に取り組んでおりまして、合宿宿泊助成により学生の宿泊者が増加したというふうにお聞きもいたしております。

本事業のメリットといたしましては、学生たちの合宿は春休み、夏休み等の期間に集中いたしますが、春休みの期間などは特に旅館、民宿などのあきが生じやすい時期であるため、宿泊客の増加に直接つながることになります。また、学生たちは日中は拘束されますが、夕方や休日などは市内観光などをしますので、予想以上の経済波及効果が期待されると思います。

一方で、思い出に残る観光地などにも将来また訪れてくれることが想定もされますし、出身校やふるさとに戻ったとき、口コミなどにより坂井市の観光PRを行っていただけるものと思います。

本市におきましては、今年2月に県から打診があったことから、市内の宿泊施設、関係機関に事業内容を説明し、制度の導入について検討いたしましたが、積極的な意見もなく、今年度当初からの取り組みは見送ったとのところでございます。

しかし、再度アンケート調査を実施し、宿泊施設側の取り組み意向を確認をいたしましたところ、回答のあった11の宿泊施設では学生宿泊の受け入れ実績が既にあり、助成制度を活用して今後も積極的に受け入れていきたいとの御意見もありました。

このようなことから、本市におきましても平成23年度から宿泊助成金制度を実施していきたいというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。


○ 議長(山田 栄)川元教育長。


○ 教育長(川元利夫)

私の方からは、学生の合宿誘致事業における連携・協力の教育委員会としての考え方をお答えさせていただきます。

坂井市内の宿泊施設を利用した合宿につきましては、体育系の学生が大半を占めております。今年度の11月までの実績は、県外から53件で、延べ人数で2,464人となっております。

合宿の宿泊先として丸岡スポーツランド合宿所やたけくらべ温泉もありますが、坂井市内においては、宿泊施設が三国地区に多いということもあって、ほとんどが三国の宿泊施設を利用しております。スポーツ施設の指定管理者であります坂井市体育協会におきましては、県外の学生の受け入れに便宜を図り、快適に利用できるよう取り組んでいるところであります。

今後とも、スポーツ施設の合宿利用については、市体育協会との連携を密にしながら、一般市民の利用に配慮しながら、県外からの合宿による施設利用者に円滑にこたえられるよう取り組んでまいりたいと考えています。

また、文科系の合宿も視野に入れ、公民館等の利用も図りながら、教育委員会といたしましても、坂井市への合宿誘致に積極的に取り組んでいきたいと考えております。

次に、十郷用水の史跡指定についてお答えをいたします。

坂井町誌によりますと、平安末期に白川法王より春日神社の荘園として、早くからこの当地に土着していた豪族斎藤氏が、大和の春日神社を祖神として開発してきた田地を寄進されていることを考えますと、このころにはもう既に十郷用水の原型が存在していたのではないかと推察されます。

その時代から1000年以上が経過をし、市内の多くの水田がかんがい用水として十郷用水の恩恵を受けており、坂井平野は福井県一の穀倉地帯として現在に至っています。このことは、上出議員の御指摘のとおり先人の偉業のたまものであると考えます。

現在の十郷用水組合で管理している範囲は、丸岡町四郎丸の春近用水との分岐点から坂井町下新庄、その坂井市役所の本庁の横までの区間であります。延長は約8.5キロメートルですが、昭和23年6月に発生した福井大震災で、河川の堤防崩壊や十郷大堤の水門が破壊され、また各地の用水路の決壊で米作にも多大な被害を受けました。それ以後、十郷用水は現在のように地震に強い、また洪水を起こしにくいコンクリート張りに改修されております。

現在、用水の老朽化に伴い漏水が多くなり、平成13年度より国営かんがい排水事業九頭竜川下流地区として、十郷用水をパイプライン化にする工事が着々と進められているところであります。

さて、この十郷用水史跡指定のことについてでありますが、先ほど申し上げましたとおり、現在の十郷用水は福井震災の後に整備されたもので、史跡として保護すべき歴史的な遺構が残っておりませんので、十郷用水路を市の史跡に指定することは極めて難しいと考えています。

上出議員のおっしゃられるように、登録ということになるとこれは可能かなとも考えておりますので、今後また検討していきたいと思います。

なお、この史跡に指定をしますと、維持管理の工事をする場合など、形状変更行為が規制されまして、用水の管理者や農業関係者に多大な負担を強いることにもつながってまいりますので、関係者の御理解が何よりも必要であると考えます。

しかし、十郷用水の歴史的な価値を考えますと、十郷用水に関係する絵図や古文書等の歴史的価値のある資料を坂井市の文化財に登録するなど、歴史的資料が散逸するのを防ぐことでも、後世に伝承することの方が大変大切であると考えております。
以上であります。


○ 議長(山田 栄)上出議員。


○ 3番(上出純宏)

どうもありがとうございます。

まず、観光政策の方ですけれども、私がこの制度が坂井市にはないってことを知ったのはちょっとしたきっかけでございまして、秋の運動会に出かけましたら、加戸地区なんですけど、地区区民の人から、加戸の体育館で関西の女子のバトントワリングの人が合宿に来ていて、その練習を見ていて、あんまりにもすばらしかったそうです。これをこの辺の子どもに見せたいなと思ったっていうのを聞いたんですよね。この話を後日越前市の友人にちょっと話したら、越前市ではそんな学生に1,000円も助成金出してんにゃざって、坂井市どなんやろって調べたら、坂井市はなかったということで、あちこちデータを集めたわけです。市民との何げない会話の中で重要なことが含まれているんだなと改めて感じましたとともに、うまくいけばこの合宿誘致事業によって坂井市民の子どもたちとか、おじいちゃん、おばあちゃんたちと学生さんとの交流が深まって、教育的にも非常に好影響が生まれるんじゃないかと思っているわけです。そして、自分が学生のころのことを思い出しますと、信州で合宿をはったわけですけども、自分に子どもができましたときには、やはりそのところを訪問しました。やっぱり、こういう青春時代の懐かしく美しい思い出のようなところで言いますと、この学生さんを誘致するということは潜在的にリピーターになる確率非常に高いと考えます。自分の例を挙げて、あれなんですけども。

こういうことで、この制度がぜひとも23年度にうまくはまってくれるといいなと。ちなみに、その日帰り客、福井県の人が落とすお金、消費額ですね、4,306円だそうです。宿泊事業は2万5,473円というデータが出ております。これまで、やはり市長は滞在型の観光を推進したいと述べておられると思います。他の市町村では既に実績を上げている事業ですし、このおくれなどを一刻も早く挽回してくれたらいいなと思います。またひとつ、その方でよろしくお願いします。

次に、十郷用水の方ですけれども、6月に、田中哲治議員は一般質問で十郷用水の畑地の利活用について理事者に考えを問うたところですけれども、具体的な利活用は関係集落の意見を集約してという回答でございました。これは、すなわち時間をかけてということと受けとめますけども、私は九頭竜川のその下流地区用水対策協議会の方々が行っているように、今できること、今すべきことという活動って非常に大事だと思うわけです。もしも十郷用水の冠に史跡というお墨つきといいますか冠がつきましたら、今後どの印刷物にもその史跡、十郷用水と表示されるということになってきますと、大人から子どもまでが十郷用水の歴史的な価値をその一言で認識できることになると思うんですよ。これは、私は今すぐに取りかかれる文化政策じゃないかなと思っています。教育長、その辺どうでしょうか。


○ 議長(山田 栄)本田教育部長。


○ 教育部長(本田真弘)

先ほど教育長が答弁もしたように、上出議員自身も、坂井市の文化財の史跡として指定するには、ちょっと歴史的遺構が残ってないと。登録文化財も、これは、今、文化財保護条例の議案として出しておりますが、施行されるのは来年4月からということでございます。その遺構を登録文化財として指定いたしましても、やはり登録文化財を何か工事で直すとかいうことになると、当然いろんな届け出が必要になりますので、そういう意味において、そこの十郷用水の組合とか関係者がそれは非常に面倒やと、後で困るっていうことでも簡単に指定できないので、その辺の十分な理解を得た上で登録文化財として指定できるんであれば、そういうふうなことは今後検討していきたいというふうに考えております。


○ 議長(山田 栄)上出議員。


○ 3番(上出純宏)
 
史跡の条件、史跡とは何ぞやというところに、これは国の文化財保護法の中では、交通通信施設、治山治水施設、生産遺跡、その他経済、生産活動に関する遺跡ということで、その遺構が正確に残っているとかいないとかっていうんじゃなく、もっと精神的に宝物とする意識を高めるシンポジウムを何回か開くということよりも、今後、十郷用水っていうところに、そういう史跡という形をいつもつけましょうって、そういうな約束だけ、相当影響力があると私は考えるわけで、ひとつその辺よろしく、文化財審議会の方で、また専門家の先生方の方で議論してもらえるといいなということで、私はそれを1つ提案させていただいたわけでございます。

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